
ユーロ圏の失業率6.4%は、1つの国の数字ではない。増えた26.7万人のうち16.1万人はフランスだった
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ユーロ圏の失業率が「6.4%で横ばい」と出ると、ユーロの景気は落ち着いている、と読みたくなります。けれど、6.4%は1つの国の数字ではありません。ユーロを使う国々の失業者を足して、その国々の働く人と仕事を探す人の合計で割った数字です。足し算の中身を国別に開くと、横ばいの見出しの下で、増えている国と減っている国がはっきり分かれていました。
僕が扱う通貨ペアはドル円とユーロ円の2つだけです。ユーロ円を持つ以上、ユーロ圏の雇用は毎月の材料として流れてきます。全部の国を追う余裕はないので、どの国が平均を動かしているのかだけは、発表文の表で確かめるようにしています。
失業率の数字からユーロの向きを予想する記事ではありません。欧州連合統計局(Eurostat)の発表文の表を国別に開き、ユーロ圏の平均が何でできているかを確かめるための記事です。国別の差や割合は、表の人数から僕が計算しました。
8月のユーロ圏の失業率は、6.4%で横ばいだった
Eurostatは2026年10月1日、8月分の失業率を公表しました。ユーロ圏は季節調整済みで6.4%、7月と同じで、1年前の6.3%からは上がっています。EU全体は6.1%でした。ユーロ圏の失業者は1,135.7万人で、前月から2.6万人、前年同月から26.7万人増えています。
失業者の数え方は、国際労働機関(ILO)の定義に合わせてあります。仕事がなく、直近4週間に仕事を探していて、2週間以内に働き始められる人です。国ごとに失業給付の仕組みが違っても、同じ物差しで比べられるようにした数字だと読めます。
平均の4分の3は、4つの国でできている
発表文の表から、大きい4か国の失業率と失業者数を書き写しました。人数の単位は千人です。
| 国 | 失業率 2025年8月 | 失業率 2026年8月 | 失業者 2025年8月 | 失業者 2026年8月 | 1年の増減(僕の計算) |
|---|---|---|---|---|---|
| フランス | 7.8% | 8.2% | 2,476 | 2,637 | +161 |
| スペイン | 10.5% | 10.0% | 2,611 | 2,552 | −59 |
| ドイツ | 3.8% | 4.0% | 1,667 | 1,760 | +93 |
| イタリア | 5.7% | 6.2% | 1,463 | 1,591 | +128 |
| ユーロ圏 | 6.3% | 6.4% | 11,090 | 11,357 | +267 |
4か国の失業者を足すと854万人で、ユーロ圏全体の1,135.7万人の約75%になります。ユーロ圏の平均の4分の3は、この4か国の数字です。失業率がいちばん高いのはスペインの10.0%ですが、失業者の数がいちばん多いのは、8.2%のフランスでした。

増えた26.7万人のうち、16.1万人はフランスだった
1年でユーロ圏の失業者は26.7万人増えました。国別の増減を並べると、フランスが16.1万人、イタリアが12.8万人、ドイツが9.3万人の増加です。フランスだけで増加分の約6割、イタリアと合わせると28.9万人で、ユーロ圏全体の増加を上回ります。
反対に、スペインは5.9万人減りました。失業率も10.5%から10.0%に下がっています。4か国の増減を足すと32.3万人の増加で、全体の26.7万人より5.6万人多い。残りの国々では、合わせて失業者が減っていた計算です。
「ユーロ圏の失業率は少しずつ上がっている」という一文は正しい。ただ、その上昇は南の国ではなく、フランスとイタリアの数字で起きていました。高い失業率の国が悪化しているのではなく、中くらいの国が少しずつ上がっている。見出しの平均だけを見ていると、この向きは見えません。
ドイツの4.0%とスペインの10.0%は、同じ平均に入っている
ドイツの失業率は4.0%、スペインは10.0%です。2.5倍の差がある2つの国が、同じ6.4%に混ざっています。しかもドイツは3.8%から4.0%へ上がり、スペインは10.5%から10.0%へ下がりました。2つの国の差は1年で6.7ポイントから6.0ポイントに縮んでいます。
25歳未満の若い人の失業率になると、差はもっと大きくなります。ユーロ圏は15.0%で、ドイツは7.4%、スペインは22.7%、フランスは20.6%でした。同じ通貨を使っていても、働き口の事情は国ごとにまったく違う。ユーロ円の値段は、この違いを1つの数字に押し込んだ上で動いています。

横ばいの月にも、中身は動いている
7月から8月の1か月だけを見ても、国ごとの動きはばらばらでした。イタリアは6.0%から6.2%へ上がり、オーストリアは6.2%から6.7%へ0.5ポイント上がっています。デンマークは6.7%から5.9%へ下がりました。ユーロ圏全体は6.4%のまま動いていません。
平均が横ばいの月は、何も起きていない月ではありませんでした。上がった国と下がった国がたまたま打ち消し合った月です。だから僕は、見出しの6.4%を見る前に、表のフランスとイタリアの行を先に見るようにしています。判断できないことを判断できるように振る舞わないために、見る行を先に決めておくのが、僕のやり方です。

10月30日の発表で、僕が見る行は3つだけ
9月分の失業率は、Eurostatの予告どおり10月30日に公表されます。その日に僕が手帳に写すのは、次の3つだけです。
- ユーロ圏の失業率(6.4%から動いたか)
- フランスとイタリアの失業者数(1年で増えた2か国が、まだ増えているか)
- スペインの失業率(10.0%を割り込むか)
それ以外の国は、毎月は見ません。全部を追えば、全部が気になって相場の画面から離れられなくなる。移動しながら暮らすと決めたときに、見るものを減らすことも一緒に決めました。
FX(外国為替証拠金取引)は為替相場の変動により損失が生じるおそれがあり、預けた証拠金を上回る損失が生じる可能性があります(元本保証はありません)。本記事は情報提供・読み物を目的としたものであり、特定の取引や口座・金融機関の利用を勧めるものではありません。記載内容は欧州連合統計局(Eurostat)「Euro area unemployment at 6.4%」(https://ec.europa.eu/eurostat/web/products-euro-indicators/w/3-01102026-ap、2026年10月1日公表)を2026年10月26日に確認したもので、国別の増減・合計・割合は発表文の表の人数から当サイトで計算しています。FXを利用する場合は、金融庁に登録された業者かどうかを確かめたうえで、ご自身の判断で行ってください。本サイトはアフィリエイト広告(成果報酬型広告)を利用しています。写真:Openverse経由のパブリックドメイン(CC0)素材。